自室のベッド
思っていた
男はつらつら思っていた。
昨晩呼んだデリヘル嬢のことをである。
場所は自室のベッド。お世辞にも綺麗とは言えない一室における、そんなベッドに仰向けになっての回想であった。
男は風俗を好いていた。
理由は様々ある。一つだけでは飽きが来る。だから男は様々な趣を作ることを趣味としていた。
おかげで随分理想の女というものが増えていくこととなった。
どんどんと自身の人間性が庶民的に移ろっていくような心持ちがして、そのような後押しもあってか男はますます風俗を好いていたように思われる。
驚くほどに
昨晩呼んだ女は、それはもう驚くほどに見てくれの悪い面構えをしていた。
目は一重にして細く、鼻梁も低くて眉根の感覚も忙しく短い。
髪もチリチリとイタズラな炎にひとしきり舐め尽くされた後のような塩梅であって、そのくせ薄くくの字に曲がった唇から飛び出す言葉といえば、そのどれもが根拠のない自信が残り香のように付いて回っていた。
まるで包装紙ごと押しつぶされたカニパンのような、そんなどうしようもないホームベース顔に、しかし男は一種独特の情慾を掻き立てられずにはいられなかった。
本当に
風俗嬢というものは本当に不思議だ。
その見た目、器量の良し悪しには雲泥の差が、それほどピンからキリまでといった具合に開いてあるというのに、しかし彼女たちは皆一人の漏れもないままにただただ夜の女でしかなかった。
蟻が蟻でしかなく、どこの国で見上げた空もまた同じ一つの空でしかないように、彼女らもまた皆、風俗嬢でしかなかったのだ。
その奇妙な事実をこそ男は愛し、そうして楽しんでいたようにあった。